こんにちは! スナックデルソーレGINZA オーナーの恵ママです。
今回のライフシフト対談は、保育業界でDXを推進する株式会社保助輪(ほじょりん)の社長であり、2児の母、デルソーレ共同オーナー、そして大学院生でもある麦ちゃんの、ライフシフトストーリーを伺いました!
4足の草鞋を履く多忙な麦ちゃん。その根底には、麦ちゃんの確固たる思いがありました。
保育業界に飛び込んで10年。原点は「怒られたあの日」
恵ママ:
麦ちゃんが保育業界に入ることになったのは、どういうキッカケがあったんですか?
麦ちゃん:
元々子どもを保育園に預けてSEとして働いていたんですけど、ある日、保育園の先生にめちゃくちゃ怒られたことがあったんです。というのも、お客様との打ち合わせが20分延びたために、お迎えに遅れてしまって‥。
恵ママ:
えっ、たったの20分で?
麦ちゃん:
「そうなんです!何このシステム?」って思いました(笑)
でも、後で分かったんです。
保育園って、本当に人手が足りない。1人が20〜30分遅れるだけで、現場が回らなくなるんです。
恵ママ:
裏側の事情を知ると、また違う見え方になるよね。
麦ちゃん:
保育業界の抱えている課題を知り、また私自身、育児が得意じゃなかったので、「じゃあ保育士の資格を取ってみよう」と思いました。私は勉強から入るタイプで、まずは理論から入ろうと思って。
SEとして働いていた頃は、本当にハードな生活でした。深夜1時まで子どもの夜泣きに付き合って、やっと寝たと思ったら3時にシステム障害の連絡が来て、そこからパソコン開いて対応。朝5時には出勤して、残業はできない‥。
「このままじゃダメだ」と思って、保育士になることを決めました。そこから5年くらい現場で働きながら、大学にも通い、教員免許も取りました。
恵ママ:
え、並行して教員免許まで!
麦ちゃん:
大変でしたが、天職だと思ったんです。それまでは1日中、PCと向き合っていた生活から一変して、保育士になると、子どもたちと一緒に声を出して歌ったり、お散歩に行ったり。人間らしいリズムを大切にできる生活が、すごく心地よかったんですよ。
SEと保育士、異色の経験を活かしたDX支援の法人を設立
恵ママ:元SEの保育士さんって、なかなか珍しいキャリアですよね!
麦ちゃん:
実は、デルソーレのお客様に「日本一DXに詳しい保育士」という肩書きをつけていただきました!
恵ママ:
素敵ですね!そして2025年1月に、株式会社保助輪を立ち上げたんですね。
麦ちゃん:
これまで保育業界で13施設を運営する社会福祉法人の、業務効率化を5年間担当させていただきました。
DX推進に取り組んだ結果、スタッフの年間休日を13日増やすことに成功したり、有休消化率を80%まで高めることができたりと、一定の成果を出すことができたんです。
でも「1社だけが改善しても、業界全体には影響を与えられない」と気付き、「保育業界全体を支援したい」という想いで、起業しました。
ママとして、学生として。自分に足りなかった“ピース”を探して
恵ママ:
素晴らしい実績ですね。さらに業界をも変えたいって野望が、とてもカッコいいです!
麦ちゃんは昔から起業したいって思っていたの?
麦ちゃん:
そうですね。大企業を辞めた後、不安で不安で‥
「これからどうやって生きていこう…」って、すごく焦っていた時期がありました。
そのときに、ホットクックの使い方が知りたくて(笑)勝間塾というオンラインの起業塾に入ったんです。
恵ママ:
ホットクックに惹かれて勝間塾(笑)
麦ちゃん:
その中で、勝間さんが「目的がなくても、とりあえず起業を目指すといい」っておっしゃっていて。
その時は正直、よく分からなかったんですけど‥ホットクックの動画の合間に起業の話が出てきて、「人生1回きりだし、それもアリかもな!」と、だんだん思えてきたんです。
5年前に勝間さんが、「まずは業務委託で働いて、軌道に乗ったら法人化」とアドバイスされていたので、
それを参考にして、2年前に業務委託に切り替え、今年ついに法人化しました。
恵ママ:
戦略的に、ステップを踏んできたんですね!
麦ちゃん:
勝間さんが提唱している「自分の人生を自分でコントロールする」という価値観にすごく共感したんです。
組織にいる限り、自分で時間も内容も決められない。子どもがいるとなおさら、自分の人生を自分で選べるようにならないと、子どもの人生まで犠牲にしちゃうことになるなと思ったんです。
恵ママ:
なるほど。自己決定できる割合が増えると、幸福度って上がる。忙しくても納得感を持つことができますよね。
麦ちゃん:
主体的に生きられるって、精神衛生上すごく大事なことだと思います。
恵ママ:
デルソーレは、そういう生き方をしている人が多いよね。
麦ちゃん:
環境は大事ですね。あと私は法人化する前から恵さんにコーチングしてもらっていて、「社長になりたい」って口にしてたんですけど、やっぱり形から入るって大事だなと思って。
恵ママ:
うんうん、「なりたい」って言葉にした瞬間から、もうその道が始まっているからね!
実際、法人化してみてどう?
麦ちゃん:
私がやりたいことをやって、それによって少しでも地域が成り立ってるとしたら、とてもありがたいことだなって思うようになりました。
「こんなにリスクを背負って、こんな商売をしてくれてるんだ」って思うと、まわりの中小企業の社長さんたちへのリスペクトをより一層抱くようになりました。
恵ママ:
世の中に中小企業って無数にあるけど、その一つひとつに、誰かの覚悟と決断があるんだよね。
麦ちゃん:
そう、そんな大人の仲間に入れてもらえたことが、素直にうれしいです。
子育てを支える“保助輪”になりたい
恵ママ:
「保助輪」って社名からして、温かさを感じるよね。
麦ちゃん:
ありがとうございます!自転車の補助輪のように、『保育士さんがITツールを使いこなして、自走できるようになるまでお手伝いする』そんな存在になりたいと思って名付けました。
恵ママ:
最初は並走してサポートして、いずれは自分の力で走れるように、ってことなんだね。
麦ちゃん:
そして、保育士が保育に集中できる職場環境を作ることが、子どもたちの笑顔にもつながると信じています。
デルソーレのSNS発信がきっかけで、大学院に進学
恵ママ:今年(2025年)は麦ちゃん、まさにライフシフトの真っ只中の年ですね。1月に会社を作って、4月に大学院に入学して‥
肩書きだけでなく、過ごし方や、関わる人たちも、大きく変わった年なんじゃない?
麦ちゃん:
ほんとにそうですね!大学院に入ったきっかけは、実はデルソーレのおかげなんです。
恵ママ:
えっ!どんな経緯で?
麦ちゃん:
デルソーレのママになったことをキッカケに、SNSで頻繁に発信するようになり、それを目にしてくれた学生時代のゼミの先生から、連絡が来たんです。
「今何してるの?」って驚かれて、先生とご飯に行くことになって。
恵ママ:
すごいご縁!
麦ちゃん:
さらに、現在先生が勤めている大学が、私の保育業界の仕事で関わってる学生さんが多く通われている大学という偶然も、重なったんです。
「今後どんなことをしていきたいの?」って先生に聞かれたので、国のDX推進政策に協力していきたいって話したんです。
そしたら、「学生時代、フランスの政治学を専攻してたでしょ?フランスの保育制度を調べたら、日本の制度改革に応用できるかもしれない。うちの学生になって、研究やってみたら?」と。
私、そういう偶然のご縁に乗るのが好きだし、「この方向性は、私の人生に今までなかったピースかも」って思ったんです。
「よし!やろう!」って、入試の1ヶ月前に決断しました。
恵ママ:
すごいご縁だね!たまたま先生と久しぶりに会ってみたら、麦ちゃんの今と、ぴったり重なったってことなんだね。
麦ちゃん:
そうなんです。実はフランスに1年間、留学した経験があるのですが、その経験を全く活かせていないことに、後ろめたさがあったんです。
でも、全く予期していなかったタイミングで、学生時代の学びが、これからやっていきたい仕事と結びついて‥。その瞬間、ものすごく興奮しました!
恵ママ:
まさにコネクティング・ドッツ!
麦ちゃん:
そう!過去の勉強が活きるって、こんなに嬉しいことなんだって。
しかも先生がめっちゃ熱い人で、「君の昔の研究、今につながるじゃん!」って熱弁されて、テンション爆上がりしました!
恵ママ:
のせられちゃったね(笑)大学院に通い始めてみてどうですか?
麦ちゃん:
私の人生に足りなかったピースは、これだ!って感じです。
恵ママ:
麦ちゃんは元々勉強大好きだもんね。
麦ちゃん:
はい、向学心は強い方で、実は1つ目の大学を出た後に、教員免許を取るために2回も転入してるんです。
恵ママ:
え、大学3つ通ったってこと?!
麦ちゃん:
英語と情報の免許を取りたかったのですが、それぞれ別の大学でしか取れなかったから‥。3校目は単位を取り損ねて入り直しました(笑)
恵ママ:
それぐらい、学ぶことが好きなんだね。
麦ちゃん:
はい。好きなのですが、自分の専門について語り合える友人がなかなかいなくて…
でも、院に入ったら、私よりもずっと詳しくて、議論が白熱する人たちがたくさんいる。もう、アカデミックな場って最高です!
恵ママ:
すごくいい刺激になりそうですね。
麦ちゃん:
学生さんともフラットに話せるし、視点も広がるし、話せば話すほどワクワクします。
恵ママ:
知的好奇心が満たされる学びって、ほんと人生を豊かにしてくれるよね。この年齢になって、自分の学びのために時間やお金を使えるって、めちゃくちゃ贅沢なことだよね!
麦ちゃん:
そうですね!私は趣味でガーデニングもやっているのですが、ガーデニングと勉強とは、時間をかけないと得られない達成感がある、という点で共通しているなぁと思います。
ありのままの自分で居られるデルソーレ
恵ママ:私たちが出会ったのは今からちょうど一年前、2024年の6月頃ですね。 その年の8月には、麦ちゃんがデルソーレの共同オーナーに参画してくれて!
この1年間を振り返ってみて、デルソーレコミュニティから影響を受けていることってありますか?
麦ちゃん:
あります!ものすごく大きいです。まず、「自分はこれでいいんだ」っていう自己肯定感が高まりました!
デルソーレにジョインしてからというもの、常にあたたかい気持ちで、自信を持って毎日を過ごせていて。こんなに良い状態がずっとキープできていることは、これまでの人生の中ではなかったです。
恵ママ:
嬉しいです!何が、そうさせているんだろう?
麦ちゃん:
自分がしたいことを、既に実現されている人が、周りにたくさんいるからかな。
恵ママもそうだし、お客様もそう。
だから、「自分がやってることが普通」って思えるようになった。
恵ママ:
みんながやりたいことに向かってチャレンジしているから「こんなことやってみたい」って話しても、誰も変に思わないし、すんなり受け入れてくれるんですよね。
麦ちゃん:
本当に!これまでは、周りに話すと「なんのためにそんなことするの?」とか、「意識高いね」って、ネガティブな反応が返ってくることも多くて、いちいち説明しなきゃいけないのがしんどかった。
でも、デルソーレではそれがいらない。
私がやってることが「普通」って思える。
だから私らしくいられる。
恵ママ:
デルソーレは、つい自己開示したくなる場所ですよね。
ガラリと変わった価値観!「麦ちゃん」として生きていく
麦ちゃん: 実は私、自分が注目されるのって好きじゃなかったんです。
でもデルソーレに入ってから、SNSで自分のことを発信するようになり、テレビにも出させてもらって、初めて分かったんです。
「露出することのメリット」ってこういうことなんだ!って。
デルソーレ近くのBARに遊びに行った際に、はじめましてのお客さんから「あ、麦ちゃん知ってる!」って声掛けてもらったりもしました。
恵ママ:
界隈ですっかり有名人になってる!(笑)すごく嬉しいことですね。
そして発信を続けていたら、「自分の言葉に共感してくれる人」が集まるようになるんですよね。
麦ちゃん:
はい。恵ママがメディアに出て、デルソーレが発展してきた姿を見て
「あ、こうやって社会に対する影響力を最大化できるんだ」っていうのを学びました。
ネットの世界で「匿名で意見を言う」っていう経験はあったけど、 「姿そのもので影響力を持つ」っていうのは、これまで知り得なかった世界でしたね。
恵ママ:
既存の組織や誰かがつくった枠組みの中にいる限り、別に自分の名前で発信する必要ってないですもんね。
でも、社会を動かそうとするなら「自分の名前で」発信する必要がある。
麦ちゃん:
自分がまさに「違う世界に行った」ってことなんですよね。
勝間さんも、「名前と顔を出して発信しなさい」ってよく言ってて、最初は意図が分からなかったけど、今ならわかる。
恵ママ:
そんな麦ちゃんが、これから目指していることは?
麦ちゃん:
自分の影響力を大きくしたいなんて、これまで考えたこともなかったんですが‥
でも、ひとりでできる仕事の範囲って限られてるじゃないですか。だったら「助けられる人の数」を最大化したいなって思うようになったんです。
恵ママ:
一つの園を良くするんじゃなくて、「業界全体をよくしたい」っていう視点になったんですね。
麦ちゃん:
そうなんです。自分が関わっている法人だけじゃなくて、日本にはもっとたくさんの子どもたちがいて、その保護者たちもいる。
だから「みんなが幸せになれる保育業界」に変えていきたい。
子どもを育てている人が、ハッピーな社会。
それが私の理想なんです。
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SEから保育士に転身、そして起業、大学院進学と、たくさんの選択と挑戦を重ね、軽やかで「“自分らしい生き方」を実現している麦ちゃん。
「こんな働き方ができたらいいな」
「私も何か始めてみたい!」
そんな風に共感してくれた方は、ぜひ一度デルソーレに遊びに来てください。